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2015.01.31

アルバム「HIGHWIRE WALKER」 へのクリエイター、ミュージシャンの皆様からのコメント vol.02

作り笑いをしない音、とはなんて凛として美しいんだろう。
幾度となく「笑顔ください」と注文されても、さらりと微笑んでかわしてきたのかな。
それを支える音の世界も、優しく心地よいけれど強くて揺らぎがない。
日本中、いや世界中の作り笑いを貼付けている音楽は心の奥に響かないもの。
「HIGHWIRE WALKER」こんな音楽が街に溢れてたら日本も美しいのにな。

鈴木さえ子
ミュージシャン



dip in the pool 作品との出会いは、1991年のアルバム「Aurorae」。大阪梅田のwaveで手にとったのだった。
サウンド、声、デザイン、ビジュアル…どのアングルから見ても、プロフェッショナルであり、独特であり、
ソフィスティケートされたその存在に、魅了されるとともに、音楽を志すものとして(私がデビューした年でもあった)、
嫉妬さえ覚えながら聴いたのだった。しばらく、リビングの飾り棚に誇らしげに存在した情景を良く覚えている。
 アルバムを購入してちょうど20年後、2011年冬に出演したあるイベントの終演後、木村達司さんにお声かけ頂き交流が始まった。
この年には、アルバム「blown eyes」がリリースされたばかりで、その作品を聞いて動悸が早まった。
20年前に感じたdip in the poolの魅力が失われることなく、さらに2011年型として存在していた。
 
今回の「HIGHWIRE WALKER」では、エンジニアとして甲田益也子さんの歌の録音を主にさせて戴いた。
木村さんの孤独な作曲の時間を経て、そのメロディーが甲田さんにバトンタッチされ、甲田さんが詞を生む。
驚いたのは、バトンされたそのメロディーに乗せられた歌詞や歌のニュアンスは、スタジオに入るまで木村さんにもあまり伝えられていないことだ。
甲田さんが、スタジオで歌うまでに、どのように準備をしておられるのかは定かではない(あえて聞いていない)のだけれども、
テクニカルな面や肉体的な面での準備は、曲ごとに行うのではなく、普段から整えている上で、スタジオに入った瞬間に表現者としてどう振る舞うか、
歌うかということに心の置き所があるのではないだろうか。
数テイク録音するうちに、つぼみがどんどん咲いてゆくように色々な表情で魅せてくれる。
予めに定めた理想の歌へと向かう挑戦者、歌手ではなく、その場、その時を抱擁し、どう表現するかに集中する。
普段の生活においてもそんなふうに生きておられるのではないだろうか。甲田さんが宇宙人っぽいと言われる(?)所以かもしれない。
 曲、サウンド面において木村さんに絶対の信頼とリスペクトを置く甲田さんと、表現者としての甲田さんを信頼し、
毎回、期待し魅了されながら最大限にその魅力を残せるようにプロデュースしていく木村さん。
30年経った今も、現在形の音を創造し人々を魅了するのは、二人が互いに、今現在も、魅了し合っているからだと私は確信するのです。

つまり、やっぱり…羨ましい!(笑)

松井敬治
ミュージシャン/エンジニア



甲田さんの深い透明度を秘めた美しいボーカルと木村さんの徹底緻密なサウンドが、
聞く者に空中歩行しているかのような、不可思議な迷宮に迷いこんだかのような感覚
そして錯覚を味わわせてくれます。

まるで落ち着きと緊張の中で目を閉じて別次元を「つなわたり」しているかのようです。
聞き終わった後に、この「つなわたり」が錯覚ではなく現実だと気づかせてくれます。

トベタ・バジュン
ミュージシャン・プロデューサー 



木村さんの繊細なセンスあふれる世界から、どこまでも透明な甲田さんの声が語りかけてくる…
穏やかで深くて、でもとてもPOPな感じさえする自然体なdip in the poolのニューアルバムを聴いて、
何故かとってもうれしい気持ちでいっぱいになった。
いつもそのままで、マイペースな二人らしい世界が心地良く入ってくる。

他にはない圧倒的な世界をライブでまた見せてもらえるのを楽しみに待ちたい!
おめでとう~!

福士久美子(Qumico Fucci) / SHERBETS
ミュージシャン



私が感じるdip in the poolの音には
これまでも一貫して
“無音の響きがどこまでも広がる”
という空間的体感がありました。
そこにさらに時間的な、ゆるやかな“間”が持ち込まれている気がします。
いろいろ削ぎ落としているのかなーとも思います。

生きることそのものが「毎日が綱渡り」・・でも意外に穏やか・・
「綱渡り」と対発生する「平穏」
実感ですね!

小さな音で聴いても、大きな音で聴いても
気持ちいいです。

片山洋次郎
身がまま整体/気響会・主宰



dip in the poolは私にとって“見る音楽 ”という印象です。
ものづくりという日常の、パートナーのような存在。
フワッとイメージが交差して、束の間の旅に連れていってくれます。
こんなにも異なる表情を持つ音楽は世界中探しても稀だと思います。

最近素敵なクリエーターに出会うと、かなりの確率でdip in the poolのファンなのも密かに納得です!

甲斐さやか 
映像作家