朝まで深い眠り熟睡クラシック
今は昔、私が若かった十代のころのこと。世界的なアーティストの演奏によるクラシック音楽のレコードやCDを、みんなで聴かせていただいた音楽鑑賞の授業がありました。数々の名曲、名演のそのどれもが何とも実に心地好く、私は直ぐに深い眠りの淵へと誘われたものでした。“もしかして、それはとても退屈でつまらないものだったから?”そう自ら思い込んでいた節もありましたが、決してそうとばかりは言えないようです。
どうやらクラシック音楽の名曲と云われるものには、人が、本来必要としている質の高い眠りに通じる要素が有るようです。そしてそれは脳や身体がリラックスした状態になるために、音楽の波動が妙薬の役割を果しているのではないか、と私には思えてなりません。
その代表格として、モーツァルトの作品がまず浮かびます。様々なタイプの楽曲を後世に残された、大天才です。彼の数多い名曲の中から、私も二曲選ばせていただきました。明るく柔らかな木漏れ陽を感じさせるその曲調は、比較的高ぶりやすい私の神経を、そっと鎮めてくれるかのように感じます。そして音楽の父バッハの曲も、これまた決して外せません。「G線上のアリア」は非常に落ち着き払った、まるで心臓の鼓動を想わせるかのような様子で静かに曲の流れを進めていきます。また、フランス生まれの名曲たちは、いずれも絵画的でときにミステリアスです。さすがは芸術の都パリを擁する歴史大国。音楽にも美術にも色彩と奥深さを感じます。
器楽の名演に添えて私がこれまで歌わせていただいてきた録音の中から、バッハの“ヨハネ受難曲”のアリア一曲と、アルバム“ロマンス”より、ヨーロッパやイギリスなどの国々で広く愛されつづけてきた、美しい珠玉のメロディをそっと納めさせていただきます。
米良 美一
収録曲
米良 美一(カウンターテナー)
2019年デビュー25年を迎える米良美一は、映画「もののけ姫」の主題歌を歌って一世を風靡し、その類まれな美声と音楽性で欧米でも高く評価されている。また、テレビ・ラジオにも多数出演し、親しみやすい人柄と個性豊かな語り口は、世代を越えて人気を集めている。
1994年洗足学園音楽大学を首席で卒業。第8回古楽コンクール最高位(1位なし2位)受賞。同年、バッハ・コレギウム・ジャパン定期公演の教会カンタータでデビュー。1995年第6回奏楽堂日本歌曲コンクール第3位入賞。1996年よりオランダ政府給費留学生としてアムステルダム音楽院に留学。コンサートでは、国内外のオーケストラとの共演やソロ・リサイタルに加え、ソプラノのエディタ・グルベローヴァやカウンターテナーのヨッヘン・コヴァルスキーなどの世界的名歌手とヨーロッパ各地及び日本でデュオ・コンサートを行い大喝采を浴びた。その後宮本亜門演出「音楽劇・三文オペラ」に舞台初出演を果たしている。最近では、NHK放送90年記念大河ファンタジー・ドラマ「精霊の守り人」第3シーズン(NHK総合)に出演し大きな話題を呼んだ。映画音楽の主題歌も数多く、五木寛之原作「蓮如物語」、角川映画「死国」、ハリウッド映画「終戦のエンペラー」(日本版の主題歌)や「マンゴーと赤い車椅子」がある。CMではロッテ「かりんのど飴」や「せんねん灸の奇跡」他の出演および歌唱。さらに、作曲活動としては初めてとなる全国特別支援学校の子供たちの為の応援ソング「窓をあけて」(作詞:ナーチャ/作曲:米良美一/編曲:轟千尋)を作曲した。
CDは、キングレコードやスウェーデンのBISレーベル、アジアでは韓国のレーベルから世界各国で多数発売されている。2014年には宮川彬良作品を収めたCD「手紙」が発売され多くの聴衆を魅了している。2017年4月にはキングレコードよりCDデビュー20周年を記念したコンピレーションアルバムに新曲「無言歌」を収めた2枚組アルバム「無言歌」がリリースされた。
2007年大和書房から自叙伝「天使の声~生きながら生まれ変わる」を、2011年には詩人であり作家の故石牟礼道子と「母」を出版した。さらにこれまでの人生から得た経験をもとに、全国各地で講演会も精力的に行っている。
第12回日本ゴールドディスク大賞、第21回日本アカデミー賞協会特別賞として主題歌賞をそれぞれ受賞。現在、米良美一のラジオ「メラメラらじお」が北日本放送(5:05~5:15)とラジオ沖縄(23:30~24:00)にて放送中。
米良美一オフィシャル・ホームページhttp://yoshikazu-mera.info/