赤ちゃんがぐっすり 寝かしつけクラシック
今回、寝かしつけのための音楽を、とのお話をいただき、実は戸惑っております。
我が家の息子は、美しい音楽を聴きながらいつの間にかスヤスヤと眠りに入るような赤ちゃんではなかったからです。
寝かしつけられる魔法の音楽があったなんて!
このたびお医者様からご指南いただいた「単調なメロディー」の子守歌をささやき、窓を締め切り無音の静寂の中で抱っこしようとも、そう簡単には寝てくれません。
1時間、2時間はあっという間に過ぎてゆきます。
音に敏感だったので、あともう少し!というところでバイクが通り過ぎたり、ちょっとした家の物音でふりだしに戻ることもしばしば。
夜中も何度も起きるので、ひたすら寝かしつけていたような遠い記憶が。
周りにはスムーズに寝付いて朝までぐっすりと眠ってくれるお子さんが多かったけれど、息子の個性を楽しみつつ付き合ってきたつもりです。
睡眠時間のリズム確保は心がけてきました。
おかげさまで小学三年生となった今では、熟睡して朝は起こしても起きない...。
日々の育児では多種多様なアクシデントが立ちはだかりますが、周りにいる人が笑顔なら赤ちゃんも安心してくれると思います。
音楽に触れて、寝かしつけ当事者たちだけではなく、周りの大人たちもお子さんと一緒に寛いでいただけたらと願い選曲しました。
始めの方は歌声を中心に、だんだんとピアノの美しい音色へ、最後は弦楽器のまろやかな響きへと移ります。
まず、歌曲王シューベルトの名旋律を素朴なオルガンや清らかな子どもたちの声とともに。
ドイツロマン派のブラームスの子守歌もしばしば耳にされていることでしょう。
ブラームスと深い交流があったシューマンもあたたかいメロディーを残しています。チェロの伸びやかな低音に癒されます。
ドビュッシーや、サティ、フォーレの作品では、フランスの作曲家ならではの豊かな色彩に静けさを感じていただけると思います。
優雅に揺れるバッハ、最後はモーツァルトの緩徐楽章から、クラリネットや弦楽器の柔らかい音色に身を委ねてください。
どうかかわいい寝息が聞こえてきますように。
重松 希巳江
収録曲
重松 希巳江(クラリネット)
東京芸術大学卒業、同大学院修了。
クラリネットを村井祐児、鈴木良昭、山本正治、石橋耕三の各氏に師事。東京芸術大学管弦楽研究部講師を経て渡独、デュッセルドルフにてウルフ・ローデンホイザー氏に師事。
NHK FMリサイタル、JT室内楽シリーズ、倉敷音楽祭、宮崎音楽祭、水戸室内管弦楽団などに出演。第8回日本木管コンクール第3位、第15回日本管打楽器コンクール第3位。ソリストとして新日本フィルの定期演奏会にてクリスティアン・アルミンク、フィリップ・フォン・シュタインネッカー、井上道義と共演。
現在、新日本フィルハーモニー交響楽団首席奏者、東京音楽大学非常勤講師。