ジュエル通信
Vol.2
やはり、小森さんは、
走り出したら止まらない方でした
From キングのAさん(元担当ディレクター)
やはり、小森さんは、走り出したら止まらない方でした。
昨年冬、いや、もっと以前から、小森まなみ歌手活動40周年の企画立上げの相談を社内の制作宣伝の有志から受けておりました。
現在キングレコード社内に残る、「直接小森さんとお仕事させていただいた数少ない人間」として、その取り組みの大変さを考えると、ついその気持ちをノラリクラリと受け流していたのですが。。
・・・少し記憶を遡らせていただきます。
小森さんと初めてお会いしたころは、フワッとした雰囲気とアイドル然とした佇まいと、制作過程での拘りと芯の強さとのギャップに少し戸惑いを持っていたこともありました。
しかし、Courageの制作を始める前に、私は小森さんに対して戦いを挑む気持ちが高まっていました。
サウンドプロデューサーの丸尾めぐみさんのお力を借りながら、
「ジャケットはニコパチじゃないナチュラルな姿を見せたい。」
「夢の方程式。夢と希望を応援するだけじゃない、小森さん自身の心情を歌にしたい。」
きっと、若気の至りというか、何か今までと違ったアプローチを行ってみたかったのだろうと記憶しています。
そして実際の制作現場でも、
・キングのスタジオにマットを引いて、丹田から声を出すストレッチ
・小森さんの詞に曲を付ける“詞先(しせん)”では無く、曲を先に決めて詞を作る“曲先(きょくせん)”へのチャレンジ
・心の揺れ動きや、恋愛感情を表現し、作詞家としての幅を広げる
・ビジュアルアプローチの変更
などなど、本当に言いたい放題でした。
しかしながら、その様にアーティストに寄り添わず、我を通そうとするディレクターの考えを、小森さんは受け止めてくださり、一緒にアルバム制作を行っていただけたことは、自分にとっても大変貴重な経験となりました。
時には、思うようにいかずスタジオで涙を流す小森さんに、「歌い切らねば終わらないよ。」って言葉を投げかけたりして。
本当に今となっては、なんて失礼なディレクターだったのでしょう。
ただ、この様な一方的なお願いをすることは、逆に、小森さん自身の考えをしっかりと受け止めて、向き合って行かねばならないということでもありました。
このCourageの制作において、改めて‘プロデューサー’としての小森まなみの姿を見てしまった私にとって、小森さんとのモノ作りは、緊張感と厳しさを感じるものとなりました。
またそれ故、作品としてリリース出来た際の安堵感は深いものとなりました。
むろん、小森さん本人の細やかな気遣い、BOSS是枝氏のプロデュース力、音楽制作を支えてくれていた作家の皆さんのお力があってのことでしたが・・・。
今回、久々に小森さんに対して投げかけた40周年の企画提案に対して、私がまったく想像すらしていなかった言葉が返ってきたことは、大変な驚きでした。
もしかしたら、企画を提案したことによって、その言葉を、そしてその考えを小森さんの中に芽生えさせてしまったのではないかとも考えてしまいました。
しかしながら、久々に直接聞く声から、小森さんが自分自身を客観視して見つめ、待ってくれているリスナー、ファンの皆さんに対して、正直に素直に向き合おうとする気持ちが伝わってきました。
本来なら思いとどまるように説得し、新たな創作活動に励む楽しさをあらためて分かち合おうと伝えなければならなかったのですが、結局、‘プロデューサー’小森まなみの言葉に納得した自分がいました。
言葉を紡ぐことが本職の彼女から『マイクオフ』という言葉が出てきた時、キングレコードとして、音楽活動を通じてマイクオフのお手伝いできることは、制作を行う上で、大変貴重で重要な事柄に携わると感じています。
そして、小森さんと今まで同じ時間を過ごしてきたリスナー、ファンの皆さんと共に、もう一度一つの場所でワイワイガヤガヤと学生時代の文化祭の準備のような気持ちで集えればと思い、小森さん楽曲の思い出をキングレコードに寄せていただき、楽曲選定の参考にさせていただこうと考えています。
そうです。
今回のCDは、皆さんと一緒に作るアルバム企画となります。
是非、皆さんの声を小森さんに届けていただければと願っています。
『小森まなみ 40周年ジュエルプロジェクト公式HP』リクエストフォーム
小森さんからは、「最後の同窓会。楽しく頑張ろう。」との掛け声のもと、このリリース発表まで歩んできましたが、最後に我儘を言わせてもらえば、このアルバム制作を通じて、モノづくりの楽しさを改めて小森さんに感じてもらえたらと思っています。
アルバム「Courage」のレコーディングのオフショット
左からサウンドプロデューサーの丸尾めぐみ、キングレコードのA、小森まなみ、シンガーソングライターの中村裕介
走り出したら止まらない小森さんですので、ギリギリまで企画のブラッシュアップは続きます。
是非、楽しみにリリースをお待ちください。
キングレコード 元担当 A